一言で言うと

サポートライン・レジスタンスラインは、過去に値動きが止まった価格帯に引く水平線です。 その水準がまた意識されやすい、という考え方で使われますが、止まることを保証するものではありません。 引き方は人によって違うので、1 本の線より、幅のある帯(ゾーン)で見る考え方がよく紹介されます。

水平線を引いてみたものの、どの高値・安値を選べばよいのか迷った経験はないでしょうか。 この記事では、考え方、引き方の例、役割の入れ替わり(ロールリバーサル)を順に整理します。 ブレイクとだまし、主観が入る弱点もあわせて見ていきます。

サポートライン・レジスタンスラインとは

サポート・レジスタンスは、値動きを止めると考えられる価格水準のことです。

  • サポートライン(下値支持線):下落を止めると考えられる水準。買い(需要)が強まりやすいとされる
  • レジスタンスライン(上値抵抗線):上昇を止めると考えられる水準。売り(供給)が強まりやすいとされる

なぜ意識されるのかには、いくつかの説明があります。 一つは需給の説明で、買いと売りが釣り合う水準では価格が横ばいになりやすい、というものです。 もう一つは、参加者が以前の高値・安値を覚えていて、その手前に注文が入りやすい、という説明です。

どの解説も、止まりやすい、可能性がある、という言い方をしています。 そのため本記事でも、意識されやすいとされる水準として扱います。

サポート・レジスタンスは線の形ではなく、役割の名前だとする整理もあります。 同じ線でも、下から支えればサポート、上から抑えればレジスタンスと呼ばれます。

水平線の引き方の例

どこに引くか

よく挙げられるのは、次のような場所です。

  • 以前の目立つ高値・安値:最高値・最安値など、分かりやすい所から始めるのが基本とする解説がある
  • 何度も止まった価格帯:何度も反転したように見える水準を探す
  • レンジの上限・下限:レンジ相場(一定の幅を上下する相場)の上端と下端
  • ネックライン:ダブルトップ・ダブルボトムの判断に使う水平線(ネックライン)
  • キリのよい価格:100.000、103.500 のような区切りのよい数字(後の節で説明)

有効な線が見つからない相場もあり、無理に引く必要はない、とする解説もあります。

架空のローソク足で、102.80付近で3回上昇が止まった所にレジスタンスライン、101.40付近で3回下落が止まった所にサポートラインを引き、102.00をキリのよい価格の例として点線で示した図

ヒゲで引くか、実体で引くか

ローソク足の高値・安値をヒゲの先で取るか、実体(始値と終値の間)の端で取るかは、人やツールの解説により違います。 どちらが優れているかを FX のデータで比べた資料は、確認できた範囲では見つかりませんでした。

解説で見られる考え方は、主に次の 3 通りです。

考え方 内容
どちらか一方 実体かヒゲの先を結ぶのが基本、とする。終値が意識されやすいので実体を重視する傾向がある、という説明もある
自分の中で統一する どちらで引いてもよいが、やり方をそろえる
両方を含めて帯で見る ヒゲの先から実体の端までを、1 つのゾーンとして扱う

同じ価格帯でヒゲが何度も出ているときは、ヒゲを参考にすることもある、とする解説もあります。 ヒゲは極端な値をとらえるがノイズに弱く、実体は信頼しやすいが遅れやすい、という比較もあります。

線ではなく帯(ゾーン)で見る

ヒゲと実体で線の位置がずれるなら、両方を含めた幅で見る、というのが帯(ゾーン)の考え方です。 1 本の線である必要はなく、ある程度の幅をもった帯と考えると見つけやすい、とする解説があります。 反転しやすいポイントを線ではなくゾーンで考えることを、第一のポイントに挙げる解説もあります。

背景には、テクニカル分析は厳密な科学ではなく、正確な水準を決めるのは難しいことが多い、という考え方があります。 わずかに抜けて引けただけでは、本当に抜けたとは言いにくい場合がある、とする解説もあります。

帯の幅を何 pips にするかについて、根拠のある基準は確認できませんでした。 決め方の例としては、ヒゲの先から実体の端までを 1 つの帯にする、という解説があります。

102.80付近で3回上昇が止まった架空のローソク足で、ヒゲの先に合わせた102.95の線と実体の上端に合わせた102.80の線の位置がずれ、両方を含む102.74〜102.95を帯として見る例を示した図

キリのよい価格(キリ番)が意識されるという話

キリのよい価格(キリ番、ラウンドナンバー)を、水平線を引く場所の一つに挙げる解説は多くあります。 00 や 50 で終わる価格が心理的な節目として意識される、という説明です。 ただし、これらの解説には根拠となるデータは示されていません。

為替については、注文データを調べた研究があります。 ニューヨーク連銀のスタッフレポート(Osler, 2001)は、大手銀行 1 行の為替の注文を分析しました。 その結果、注文の希望レートがキリのよい価格に集まっていた、としています。

この研究は、注文の種類によって集まり方に偏りがあるとも述べています。 著者は、その偏りが、線で止まりやすいとする見方と、抜けると勢いがつくとする見方の両方を説明しうると主張しています。

ただし、この研究はキリ番で値動きが止まる確率や、キリ番を使って利益が出るかを示したものではありません。 銀行 1 行の注文データで、今の個人向け FX のレートにそのまま当てはまるかも分かっていません。 キリ番は、注文が集まりやすいとされる場所の候補として見るのが無難です。

チャートでの読み方

役割の入れ替わり(ロールリバーサル)

下に抜けたサポートはレジスタンスに、上に抜けたレジスタンスはサポートになりうる、とされます。 この役割の入れ替わりをロールリバーサルと呼び、レジサポ転換と呼ぶ解説もあります。

1 本の線が、時期によって抵抗、支持、また抵抗と働いた例も紹介されています。 一度抜けた後も、その水準が意識され続けることがある、という見方です。

抜けたレジスタンスが支えに変わると、ブレイクが本物だった裏付けになる、とする解説もあります。 ただし、どの出典も、なることがある、なりうる、という言い方です。 抜けた線が必ず役割を変えるわけではなく、そのまま素通りされることもあります。

架空のローソク足で、終値で上回った102.80の線がその後は下げ止まる水準として意識された役割の入れ替わりの一例と、上ヒゲだけが102.80を抜けて終値は線の下に戻っただましの一例を示した図

何度も止まった水準をどう見るか

何度も止まった水準については、解説によって見方が分かれます。

強くなる、とする見方 もみ合いの中で繰り返し機能した線ほど、より意識される線になる、とする解説があります。 タッチ(価格が線に触れること)の回数が多いほど強い、と書く解説もあります。

割れたときの動きが大きくなる、とする見方 タッチ回数が多いほど多くの人に意識される一方、割れたときの反動も大きい、とする解説があります。 何度も試された線は、抜けたときに値動きが大きくなりやすい、という見方です。

回数と止まる確率の関係を FX で検証したデータは、確認できた範囲では見つかりませんでした。 何度も止まった水準ほど意識されやすいとする解説が多い、という程度に受け止めておくとよいでしょう。

ブレイクとだまし

線を抜けることをブレイクと呼びます。 支持や抵抗を抜けると、需給の関係が変わったことを示す、という説明があります。 抜けるとトレンド転換の可能性が比較的高いとされますが、必ず転換するわけではありません。

線(ゾーン)を終値で抜けた時点でブレイクとみなす解説が多くあります。 ヒゲだけの抜けは、ブレイクと認めない解説もあります。

抜けた直後に元の側へ戻る動きは、だましと呼ばれます。 抜けた直後は慎重に判断し、ほかの指標と組み合わせるよう勧める解説があります。 だましは完全には避けられないとされています。

株式の解説では、だましを見分ける材料として次の 3 つが挙げられています。 ヒゲだけの抜けか、出来高を伴うか、抜けた後に役割が入れ替わったか、です。

FX には取引所のような出来高がなく、ツールによってはティックボリューム(値動きの回数)で代用されます。 株式の出来高の解説を、そのまま当てはめないよう注意が必要です。

終値で判断するか高値・安値で判断するか、抜けた後の戻りを待つかどうかは、ブレイクアウトの記事で詳しく扱っています。

時間足による違い

上位の時間足で引いた線ほど効果が強いとして、日足などの線を優先して見るとする解説が多くあります。 短い足を見るときも、上位足の線に注目するとよい、という勧め方です。 ただし、これを数値で検証したデータは確認できていません。

上位足と下位足の組み合わせ方は、マルチタイムフレーム分析の記事で解説しています。

トレンドラインとの違い(概要)

サポート・レジスタンスは通常は水平の線で、斜めに引いたものはトレンドラインと呼ばれます。 水平線は価格の水準を示し、トレンドラインは傾き(トレンドの方向とペース)を示す、という整理があります。

トレンドラインは、2 つ以上の高値や安値を結んだ直線です。 上昇トレンドラインは安値を結んでサポートとして、下降トレンドラインは高値を結んでレジスタンスとして見られます。 水平線の考え方の多くは、トレンドラインにも当てはまるとされます。

斜めに引けるならトレンド、水平に引けるならレンジと判断できる、とする解説もあります。 斜めの線が収束していく形は、三角保ち合いの記事で扱っています。

だまし・弱点と、相性のよい組み合わせ

引く人によって位置が変わる

最大の弱点は、主観が入ることです。 引き方は人によって大きく違い、有効な線を引くのは難しい、とする指摘があります。 どの高値・安値を選ぶか、ヒゲか実体かでも、線の位置は変わります。

高値・安値の選び方に主観が入る点は、フィボナッチ・リトレースメントとも共通する論点です。 ヒゲか実体かなどの引き方は、自分の中で統一するとよい、とする解説があります。

後から見ると引きやすい

過去のチャートでは、よく止まった線が後から見つかりやすくなります。 しかし、その時点で同じ線を引けたとは限りません。 引き直しは後付けになりやすい、とする指摘もあります。

過去チャートで確かめるときは、線を引いた時点と、その後どうなったかを記録しておくと、後付けを減らしやすくなります。 検証ノートを使うと、検証した結果を 1 回ずつ記録して集計できます。

FX の価格は業者ごとに少し違う

日足の高値・安値が、FX 会社によって違うことがあるとされます。 どの業者のチャートで引いたかによって、線の位置が少しずれることがあります。

指標発表や強いトレンドでは効きにくいことも

重要な経済指標の発表で線が無効になる、強いトレンドでは簡単に抜かれる、とする解説もあります。 どんな相場でも同じように機能する線ではない、と考えておく必要があります。

相性のよい組み合わせ

だましへの対策として、ほかのテクニカル指標と併せて確かめることを勧める解説が多くあります。

ローソク足の形 反転を示すとされるローソク足の形が、サポート付近で出ると強めに見られる、とする解説があります。

移動平均線・フィボナッチ サポートの候補を、移動平均線や以前の安値、フィボナッチの水準から探す考え方もあります。 複数の根拠が重なる価格帯に注目する、という使い方です。

チャートパターン ダブルトップのネックラインや、レンジの上限・下限も水平線の一種です。 ダブルトップ・ダブルボトムやレンジ逆張りの記事もあわせてご覧ください。

リスク管理もセットで考える

水平線は、自分の見方が否定される位置を考える目安として使われることがあります。 たとえば、意識していた帯をはっきり抜けたら、その見方は外れたと考える、という使い方です。 線は外れることがある前提で、損切りの位置を先に考えておく必要があります。

損切り幅を決めたら、その幅での取引数量も確認しておくと、損失を想定の範囲に収めやすくなります。 ただし相場が急に動いたときは、逆指値でもスリッページ(注文価格と約定価格のずれ)が起きることがあります。 その場合、損失が想定より大きくなることがあります。

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