一言で言うと

FX のリスクリワード比(RR)は、1 回の取引の「利益幅 ÷ 損失幅」です。 RR が決まると、収支がトントンになる勝率(損益分岐勝率)が「1 ÷(1 + RR)」で計算できます。 ただし RR を上げると勝率は下がりやすく、スプレッドなどのコストで実際の RR は悪くなります(損切り幅が狭いほど影響は大きくなります)。

勝率は高いのに、なぜか口座残高が増えない経験はないでしょうか。 勝率だけでは、1 回あたりの損益の大きさがわかりません。 この記事では、リスクリワード比の計算と、勝率との関係を順に整理します。

※この記事の計算例は、すべて説明用の架空の数値です。

仕組みと計算式

リスクリワード比の定義

リスクリワード比は、1 回の取引で想定する損失(リスク)と利益(リワード)の大きさを比べる指標です。 「リスクリワードレシオ」「ペイオフレシオ」とも呼ばれます。 この記事では、日本の主な解説に合わせて次の向きで統一します。

  • リスクリワード比(RR)= 利益幅 ÷ 損失幅

「1:2(損失 1 に対して利益 2)」と書かれていれば、RR は 2 です。 RR が 1 を超えると利益側が大きく、1 未満なら損失側が大きいことを表します。

なお、損失 ÷ 利益の向きで書く解説もあり、その場合「1:3」は 0.33 と表されます。 同じ「RR 2」でも意味が逆になりうるので、読むときはどちらの向きかを確かめてください。

価格から計算する(計画の RR)

取引前に、損切りと利確の注文価格から出すのが「計画の RR」です。 エントリーから損切りまでの値幅がリスク、エントリーから利確までの値幅がリワードです。

買いの場合

  • リスク = エントリー価格 − 損切り価格
  • リワード = 利確価格 − エントリー価格

売りの場合

  • リスク = 損切り価格 − エントリー価格
  • リワード = エントリー価格 − 利確価格

どちらも最後は「RR = リワード ÷ リスク」で計算します。

計算例(買い・架空の数値)

円が絡む通貨ペアでは、1pips = 0.01 円です(pips は値幅を表す単位)。

項目 価格 値幅
エントリー 150.00 —
損切り 149.80 リスク 20pips
利確 150.40 リワード 40pips
RR 40 ÷ 20 = 2(損失 1:利益 2)

エントリー 150.00・損切り 149.80・利確 150.40 のとき、リスク 20pips に対してリワード 40pips で RR が 2 になることを価格に比例した横線と帯で示した図(架空の数値)

計算例(売り・架空の数値)

売りでは、損切りがエントリーより上、利確が下になります。

項目 価格 値幅
エントリー 150.00 —
損切り 150.20 リスク 150.20 − 150.00 = 20pips
利確 149.60 リワード 150.00 − 149.60 = 40pips
RR 40 ÷ 20 = 2(損失 1:利益 2)

取引の結果から計算する(実績の RR)

取引を重ねた後は、結果から「実績の RR」を出せます。

  • 実績の RR = 勝ちトレードの平均利益 ÷ 負けトレードの平均損失

日本の主な解説で「リスクリワード比の計算式」として載っているのは、多くがこちらの形です。 実際には利確・損切りの前に途中で決済することも多いため、計画の RR と実績の RR がかなり違うこともあります。 両方を見比べると、計画どおりに取引できているかを確かめる材料になります。

損益分岐勝率の式

勝率を p、平均利益を W、平均損失を L(正の値)とします。 1 回あたりの期待値(平均すると 1 回でいくら増減するか)は次の形です。

  • 期待値 = p × W −(1 − p)× L

収支がトントンになるのは、期待値が 0 のときです。 これを p について解くと、次のようになります。

  1. p × W =(1 − p)× L
  2. p ×(W + L)= L
  3. p = L ÷(W + L)= 1 ÷(1 + W ÷ L)

W ÷ L は RR なので、損益分岐勝率 = 1 ÷(1 + RR) になります。 この式は、RR を「利益 ÷ 損失」の向きで定義したときだけ、この形で使えます。

一般的な設定値

RR ごとの損益分岐勝率(早見表)

コストを入れない場合の計算です(架空の数値)。

RR(利益÷損失) 表記例(損失:利益) 損益分岐勝率 1÷(1+RR) 検算(損失を 1 として 10 回取引)
0.5 1 : 0.5 1 ÷ 1.5 = 66.7% 6.67 回 × 0.5 − 3.33 回 × 1 ≒ 0
1 1 : 1 1 ÷ 2 = 50.0% 5 回 × 1 − 5 回 × 1 ≒ 0
1.5 1 : 1.5 1 ÷ 2.5 = 40.0% 4 回 × 1.5 − 6 回 × 1 ≒ 0
2 1 : 2 1 ÷ 3 = 33.3% 3.33 回 × 2 − 6.67 回 × 1 ≒ 0
3 1 : 3 1 ÷ 4 = 25.0% 2.5 回 × 3 − 7.5 回 × 1 ≒ 0

※検算列の一部の行は四捨五入した値で計算しているため「≒ 0」としています。

RR が大きいほど、損益分岐の勝率は下がります。 ただし下がり方は一定ではなく、正確には 1 ÷(1 + RR)の形で決まります。 この勝率を上回っても、それは「計算上の収支がプラスになる条件」であり、利益を約束するものではありません。

表面上の(コスト前の)RR が大きいほど損益分岐勝率は下がり、往復コスト 1pips を含めるとどの RR でも損益分岐勝率が少し上がることを示す折れ線グラフ(架空の数値)

「理想の RR」はあるか

理想の RR として、2〜3 を目安に挙げる解説が多く見られます。 ただし、同じ解説の中でも、取引スタイルや勝率によって変わるので一概には言えないとされています。 勝率 80〜90% と高い手法なら、RR 1 未満でもよい場合があるという説明もあります。

たとえば早見表では、RR 0.5 の損益分岐勝率は 66.7% です。 勝率 80〜90% はこれを上回るため、コスト前の計算上は期待値がプラスになります(平均損益が式どおりの場合)。 ただし RR がさらに小さいと、勝率 80% でも損益分岐を下回ることがあります(例:RR 0.2 なら損益分岐勝率は 1÷1.2 ≒ 83.3%)。

固定の基準(「◯以上なら OK」)は妥当なルールではない、とする解説もあります。 RR の数値は、勝率とセットで見て初めて意味を持ちます。

チャートでの読み方

先に損切りの位置を決める

紹介されることが多いのは、先に損切りの位置を決めるやり方です。 直近安値やフラッグ(保ち合いの形の一つ)の下限など、チャート上の根拠のある位置に損切りを置きます。 そのうえで、損切り幅の 1.5 倍・2 倍などの位置に利確を置く例があります。

利確の位置が現実的かを確かめる

利確の位置を決めたら、その手前に抵抗線・支持線がないかを見ます。 近くの抵抗線・支持線や経済指標の発表は、現実的に取れる利益幅を制限すると指摘されています。 計算上の RR が大きくても、その利確に届かなければ計画どおりの RR にはなりません。

取引後は実績の RR と勝率を記録する

取引の結果から、実績の RR と勝率をセットで記録しておくと振り返りに使えます。 実績の RR を早見表に当てはめれば、損益分岐勝率との差がわかります。 RR の計算には、TradingView の描画ツールや MT4/MT5 用のインジケーターを使う方法も紹介されています。

だまし・弱点と、相性のよい組み合わせ

「RR が高ければよい」とは限らない

RR を上げるには、利確を遠くするか、損切りを近くします。 すると損切りにかかる確率が上がり、勝率は下がりやすくなります。 利確を遠くしても、価格がそこに届きやすくなるわけではありません。

たとえば利益 3(損失の 3 倍)は、利益 1 より届きにくいことがあります。 勝率が下がった結果、RR を上げる前より全体の収支が悪くなることもあります。 RR は判断の道具の一つで、想定利益はあくまで見込みにすぎない、という点も押さえておきましょう。

損益分岐勝率の式の前提

「1 ÷(1 + RR)」は、平均利益と平均損失が安定しているという前提で成り立ちます。 実際には途中で決済したり、損切りが滑ったりして、毎回同じ損益にはなりません。 早見表は目安として使い、実績の数値で確かめ直すことが大切です。

スプレッドや手数料で実際の RR は悪くなる

スプレッドは、売値(Bid)と買値(Ask)の差です。 取引手数料を無料にしている国内 FX 会社は多いものの、スプレッドは取引のたびにかかる実質的なコストです。 新規の約定直後にスプレッド分が未実現損失として計上される、つまりマイナスから始まると説明している会社もあります。

スプレッドは固定とは限りません。 早朝や年末年始など取引が少ない時間、重要な経済指標の発表前後、相場の急変時には広がることがあります。 また相場が窓を開けると、損切り注文が注文価格より不利な価格で約定し、損失が計画より大きくなることがあります(スリッページ)。

コスト込みの RR(本サイトでの計算)

ここからは、出典の式ではなく、本サイトで導いた計算です。 1 回の往復コスト(スプレッド + 手数料を値幅に換算したもの)を c とします。 スプレッドは、往復で 1 回分を負担すると考えます。

勝ったときの純利益は W − c、負けたときの純損失は L + c です。 期待値 0 の式「p ×(W − c)=(1 − p)×(L + c)」を p について解くと、p ×(W + L)= L + c になります。 まとめると次の 2 つです。

  • 実質の RR =(W − c)÷(L + c)
  • コスト込みの損益分岐勝率 =(L + c)÷(W + L)

計算例(損切り 20pips、往復コスト 1pips・架空の数値)

表面上の RR 利確幅 実質の RR (W−1)÷21 コスト前の損益分岐勝率 コスト込みの損益分岐勝率 21÷(W+20)
0.5 10pips 9 ÷ 21 ≒ 0.43 66.7% 21 ÷ 30 = 70.0%
1 20pips 19 ÷ 21 ≒ 0.90 50.0% 21 ÷ 40 = 52.5%
1.5 30pips 29 ÷ 21 ≒ 1.38 40.0% 21 ÷ 50 = 42.0%
2 40pips 39 ÷ 21 ≒ 1.86 33.3% 21 ÷ 60 = 35.0%
3 60pips 59 ÷ 21 ≒ 2.81 25.0% 21 ÷ 80 = 26.25%

実質の RR を「1 ÷(1 + RR)」に入れても、同じ値になります。 たとえば RR 2 の行では、1 ÷(1 + 39 ÷ 21)= 21 ÷ 60 = 35.0% です。

損切り幅が狭いほど、同じコストでも影響の割合は大きくなります。 損切り 5pips・RR 2・コスト 1pips なら、実質の RR は 9 ÷ 6 = 1.5 です。 利確幅が小さく取引回数が多いスタイルほど、コストの影響が大きいと指摘されています。

相性のよい組み合わせ

勝率とセットで評価する 勝率は「勝ちトレード数 ÷ 総トレード数」です。 RR だけでは成功する確率はわからないため、勝率と合わせて見ます。

損切りで 1 回あたりの最大損失を限定する 計画なしの取引は、一度で証拠金の大半を失うおそれがあると指摘されています。 損切り幅が決まれば、許容する損失額から取引数量を逆算できます。

関連ツール・関連記事

  • ロット計算ツール:口座資金・許容損失(%)・損切り幅から、取引数量とロット数を計算できます
  • FXのロットの決め方:許容損失額と損切り幅から取引数量を逆算する手順を、計算例つきで解説しています
  • FXのトレンドフォロー:勝率が低めの手法で起きやすい連敗と、損益分岐となる勝率の関係に触れています
  • FXのレンジ逆張り:レンジの幅が狭いと、リスクリワード比が成り立ちにくくなる理由を整理しています
  • FXのブレイクアウト:だましで小さな損失が重なる前提で、損切りと取引数量をどう考えるかを紹介しています

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。FX(外国為替証拠金取引)はレバレッジにより預けた証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引は内容とリスクを理解したうえで、ご自身の判断で行ってください。本サイトの記事はAIを用いて作成し、公開前に確認しています。